なぜ武田双雲を書道家と呼んではいけないのか

武田双雲は「書道家」ではない。 武田双雲を「書道家」と呼んではいけない。 その理由を多角的に検証する。

2009-11

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書道界の基礎知識について

徳明さまによる「書道界の基礎知識」(「メディアへの登場(2)コメント部分に記載)を以下転載する。


書道界の基礎知識について。

やはり書道界というのは閉鎖的ですし、密室ですので関係者以外には分かりにくい面があるかと思います。そこで少しでも参考になればと思い簡単に説明します。あくまで簡単に、ですから、細かい点については省略しますので指摘等があれば補足願います。

(1)いわゆる書道界というのは、任意でつくった書道の団体の集合体と考えてよいでしょう。大小の団体が全国中に広がっております。そして各団体は師匠と弟子、あるいは師範と会員などと呼ばれます。Aという師匠にB,C,Dという弟子がいて、それぞれの弟子がE,F,G、H,I,J、K,L,Mといった孫弟子を持っています。大きい団体ですと更にその下の曾孫弟子がおります。そしてその末端が習字教室の先生と生徒という事ですね。

(2)Aというボスを中心とした小山は、日本全国にたくさんあり、小山が集まって中山を形成しています。その中でも大きめの中山に「毎日書道展」「読売書道展」「産経書道展」というのがあります。なぜ新聞社の名前が入っているかというと、新聞社がおいしい思いをしているからです。それについてはまたの機会に述べますが、とにかくそれらの書道展にはたくさんの人が出品し、それに伴って膨大なお金が動く事になります。

また上記の中山から大ボス20人を集めて朝日新聞社が「現代書道二十人展」というものを開催しています。そして中山が集まったのが、最大の大山「日展」です。美術界では日展に入選したという事を自慢すると、ある意味失笑ものですし(現代美術分野では特に)、他の団体として院展や二科会などもありますから、日展は一美術団体という受け止め方ですが、書道界においては勲章となります。(その世界の中だけですが)イメージとしては国会を日展、政党を中山と思って頂ければ結構です。自民党という与党もあれば、それに対抗する民主党もあり、また弱小な党もあり、といった様相です。

(3)ではその力関係は何で決まるのか。政治では議席の数ですが、書道界も同じで、大事なのは各団体の入選者数、あるいは役員数という事になります。組織というのは数の論理で成り立ちます。この時点で自由であるべきアートとは程遠い世界なので、美術界では失笑ものなのです。

さて、とにかく大事な入選者数はどのように決められるのでしょうか。簡単にその仕組みを説明します。A書道会という団体からは10人出品したとします。またN書道会という団体は100人出品したとしましょう。公募展に出品するには出品料というのを払わないといけませんので、仮に出品料を3万円とすると、単純に考えてA会は30万円、N会は300万円を公募展の主催者に支払っている事になります。どちらの発言権が強いのか、もうお分かりですね。実際には平の出品者の出品料が3万円だとすると、役員や理事の出品料はその三倍程度になるかと思います。

(4)ところで公募展の審査は誰が行うのでしょうか。もちろん小山のボスや中山のボス達です。下っ端の出品者は、先ほど説明した町中の習字の先生や趣味で長年「お稽古事」を楽しんでいる方、あとは少しばかり書道専攻の大学生などがおります。審査会場において、A書道会は30万円しか払っていませんので、A先生はあまり強気な発言はできません。一方N先生は300万も払っているので、自分の弟子を入選させるべく、弟子の作品を推薦します。というよりも、実際は入選率というのは大体決められています。例えば10人出品している団体は入選5、入賞1。100人では入選50、入賞10といった具合です。ですから実際に審査会場でもめる事はほとんどありません。それぞれの先生が自分達の弟子の作品を振り分ければ済む話ですから。ただ日展の特選など、大きい賞になると各団体の意向が複雑になりますので審査協議をします。その場合だと、候補の中から、だいたい大きい書道会順に決まります。

(5)そういった形で公募展は行われていますが、渦中の双雲氏やそのご家族はそのような書道界とは全く接点のないところで活動しておりますので、彼が受賞した龍華翠褒賞などというものを、書道界の人達が一切知らないのも無理ありません。また前述の「毎日書道展」「読売書道展」は、各団体の経緯などからお互い距離を取っていますから、母親の双葉氏がふたつの書道展で入選したのは履歴詐称ではないか、という指摘は説得力があります。もちろんそのような方もいる事はいるのですが、かなり少数といってよいでしょう。それ以前に、そもそも双葉氏の書を一見すれば、とてもどちらの公募展にも入選できるような技量がないのは明白ですので「3歳から母である書家:武田双葉(そうよう)に書を叩き込まれる。」とプロフィールに書いてある双雲氏の技量が圧倒的に乏しいのも致し方ない事なのかもしれません。

(おまけ)実は日展に入選してもまだ権威レースは終わりではありません。まず入選を10回繰り返します。連続入選だとしてもこの時点で10年かかる事になります。そうすると位がひとつ上がって「会友」というものになります。会友になって初めて「特選」になる資格を得る事ができます。ここで見事勝ち残ると特選を受賞します。そしてまた何年かして2回目の特選を受賞すると、こんどは「委属」という位になり、さらに新審査員になる資格を得ます。またそれを何回かやると今度は‥‥という具合に階段を何十年もかけて登っていくわけです。ではそのゴールはどこか、といいますと「日本芸術院会員」になるでしょう。これはいわゆる人間国宝と同じような名誉になります。そのような長い行程がありますので、早く辿り着く人でも80才くらいにはなっているのが通例です。これですら日本の中だけの話ですから、若くして「世界的な書道家武田双雲」をつくるためには、やはり無理してでも「龍華翠褒賞」などというものが必要だったのではないでしょうか。残念ながらその賞は全く意味のない賞である事は既に貴ブログ内にて検証済みだと思います。




また書道公募展の仕組みについては、非常に詳しく解説しているページがあるので、こちらをご参照いただきたい。

書・淡墨の世界へようこそ……展覧会への道


(追記)
ここで取り上げた書道界の「問題」を正面から取り上げた書籍が1985年に出版されている。
戦後日本の書をダメにした七人―上田桑鳩 西川寧 青山杉雨 金子鴎亭 村上三島 木村知石 飯島春敬 ら40人」 (大溪 洗耳 著 日貿出版社)である。
現在絶版となっているが、Amazonなど古本販売サイトで購入することができる。
その帯には
書道界に旋風を巻き起こす!!駄作・愚作が賞になる評論不在の実態を衝く!」とあり、
本文には

書家が勉強する場が展覧会である。良い作品を書いて出品し認められれば褒章される。展覧会とは実力のある作家が認められる仕組みになっている。(中略)ここで大きな問題がある。書けない作家が認められ、賞を獲ることである。実力がないのに賞を獲る。へたなのに賞を何回も獲れば、いずれ審査員になる。ところが作家にはかけなければ見れない、という大原則がある。実力がなければ真に良いものを洞察する力がないという大原則である。順に行けば書けないのに審査員になって、今度は見て選ぶ側に回ったとき、大きな間違いを犯すことになる。どんどん『へた』な作家が賞を獲る。どんどん『へた』な審査員が誕生する」、そして「私にできることはこの展覧会至上主義に多大の影響を与えた作家達の作品批評である。作品を評するために人間もいささか論じた


と書かれている。
実際この本は当時物議を醸したようで、半年後に同じ出版社より続編「続・戦後日本の書をダメにした七人 くたばれ日展」を出版する際、日本経済新聞や毎日新聞、一部の書道業界誌は広告掲載を拒否するという事件が起きたらしい。
興味がある方は一読されてはいかがだろうか。

コメント

よくぞ書いてくれた!

こんなサイトを待っていた。
武田双雲、双龍ともにとんでもない書家だ。
これらを調子に乗らせたTV界、マスコミも悪い。
今日、新宿の双雲コの個展にいってきた。
とんでもない作品を並べて、「今日は人を○人泣かせた。」などとのたまわっておられた。ほんとにアホだと思う。
自分の技量すら自覚していないのが腹が立つ。
あれは「書」ではないよ、本当に。(自分では革命児ヅラしてるけど、落書きに過ぎないからね。。。)
墨色もきたないし、字もいびつだし、線は汚いし。。。素人を馬鹿にしてるにも程がある。(まぁ、素人もそんな低級の作品を目の前に感激してるのもアホだと思うが。。。)
双雲コについては、もっともっと書きたいが、今日はここまで。

>酔斬さま、

コメントありがとうございます。
私も個展を見ました。
やはりというか、なんというか
今までPCや印刷物で見ていたもの以上にひどいと思わせるものでした。
あれは「書」ではない、といえるのではないでしょうか。


またご意見等ありましたら、お願いします。

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